ウィルミナCEO 幸村が #HERDAYS を作ったワケ 【後編】

概要

ひとりひとりの女性が選ぶ固有な生き方をピックアップしていく「HERDAYS story」。今回は、WiLLUMiNA(ウィルミナ)CEOの幸村潮菜さんと、株式会社arcaの辻愛沙子が、女性の人生における選択の自由と難しさについて本音で語り合いました。世代を越えた「Sisterhood(連帯)」をつくっていくために、私たちひとりひとりができることは何か。そして、「HERDAYS」をつくったワケを伺いました。

結婚?出産?仕事? 女性の選択の自由と難しさ。

幸村さんがご出産されたときは楽天にいらっしゃる時代だと伺いました。結婚や出産・育児と、仕事で頑張りたい時期が重なっちゃって悩む女性も多いのかなと思うんですけど、そういう悩みってありましたか。

幸村

ありましたね。私は、出産するか・しないか、するならいつかってすごく悩みました。それが33歳ごろだったから、時間もあまりなくて。妊孕(にんよう)率とかってファクトでも出てるじゃないですか。旦那さんは子どもが欲しい人で、私はキャリアを優先したい人だった。でも考えたら、産むのは私しかできないけど、育てるのは2人でできるよね、と思って、育児をちゃんと一緒にやってくれるんだったら産むって話し合いました。

ただそういうのってご縁でもあるから。結婚も出産も「しよう」と思ってすぐできるわけじゃない。だから、そうしたい、って思ったら、その時はキャリアよりも優先してもいいのかも。時間を長く捉えた方がいいんですよ。人生100年というような時代だから。

でもなんか「キャリアを失う」みたいな感覚になっちゃうんですよね。分岐があって、あっちを選んだら、もうこっちには戻れない、みたいな怖さがあるんです。

幸村

全然そんなことない。40歳ぐらいまでの20年間で帳尻を合わせておけばいいんですよ。なので、20代で産んで30代で仕事のキャリアをつくる人も全然いるし、20代で仕事頑張って30代で産んでる人もいるし。

とはいえ、どうしても産める時期とか、妊娠の確率というものがあるので。だから、子供とか考えているのであれば、タイムラインとかもある程度視野に入れつつ、時間は長く捉えて、仕事のキャッチアップは全然できる。ご縁だから、その時は出産や家族のことを選んでしまってもいいと思う。

例えば、育休後に戻れるのかとか、先が見えないとか、先が見えない中で進んでいく不安みたいなものが漠然とあるのかなと思うんです。いずれにしても、どんなキャリアにしても、「待ち」だから不安なんじゃないかなと思って。

結局自分で、それこそ転職活動してみたりとか、探してみたりとか、ここだったら相性がいいなと思って行ってみるとか。そこに制度がないなら、自分で作ってみるとか。自分でキャリアを作っていくっていうところですね。

幸村

漠然とした悩みはあるんだよね、みんな。でも、それは仕事と一緒で、「何に悩んでるのか」があって、それを細かく分解していくと、それぞれ対応策があったりもする。不安なのはわかるんだけど。解決しようと思ったら、意外とできたりするものだ、乗り越えられるものだっていう感覚は大切。あとは、環境を変えること。その選択肢を持つことが大事だし、持っていて全然いいと思います。

最近の話で言うと、私は、40代になると体がだんだん持たなくなってくるというか、無理が効かなくってくるというのもあって、ベンチャーで戦い続けるのがちょっと辛くなってきてたんですよね。そんな時に大企業の新規事業室みたいなオプションが出てくるわけですよ。子供も小学校に上がるくらいの時期に、時間的にも精神的にもゆとりがあるところに移って。ただ、価値としては貢献できるわけですね。選択肢を広げて、他の環境を探して見つけて、自分が1番プライベートも仕事も貢献できて、自分らしくいられるところをうまく探していくみたいな。喜んでもらえるところって実は結構あると思っています。

世代を超えたSISTERHOODを作りたい。

女性のライフステージについて、キャリアとの関係性もあると思うんですけど、生理や日々の揺らぎも含めて、年を重ねるごとに変化していく心や体の変化との付き合い方って、何か意識されてることとかってありますか。

幸村

1つは、今がどういう症状か、体がどういう状態かっていうのはわかります。でも、やっぱり大事なのって5年後ぐらいに、どういう変化が起こる可能性があるのかを知ることかなと。対策打てるじゃないですか、ライフプランもそうだし、キャリアプランもそうだし。そういった情報を取りに行くっていうのは、大事だなと思っているんですよね。

どうやって情報取りに行っていくかっていうと2つあって…1つは、女性の先輩経営者とか、お姉様方たちに「○○歳ぐらいの時にはどんなことで悩んでどんなことが起きましたか?」というのは聞くようにしています。

もう1つは「かかり付け医」ですよね。ちゃんと人間ドックを受けるのは当たり前、婦人科系も絶対受けなきゃダメ。特に婦人科は40歳過ぎたらね、それは絶対受けて。受けるだけじゃなくて、フォローしてくれるかかり付け医みたいな人をちゃんと持つこと。そういうのを大事に蓄積してと言われます。私は、実際、キャリアのことも全部知っているお友達の女医さんがいて、その人のところに2、3ヶ月に1回は、人間ドックのフォローアップとかでちゃんと行くようにはしています。

ある種、自分への投資でもありますもんね。

幸村

そうそう、そうですよ。だから健康は自分もそうだし、子どもとか夫とか家族、もっと言えば、両親も含めて健康であることが、この世代は自分が自分らしく生きるベースになるんですよ。自分は当たり前なんだけど、その周りになんかあったりすると、一気に崩れちゃうんですよね。なので、そこはある意味マネージメントが必要で。育児が大変ってみんな思ってるけど、介護の方が大変っていう話もある。

種類は違えど。

幸村

そう、育児はどんどん手離れしてくでしょ。介護って重くなってっちゃったりするじゃないですか。経験者のお話を聞くと、お金もそれなりにかかるしマンパワーもいるし、そこは今後すごく大きな課題。今の日本だったら女性が引き受けることが多いんじゃないかと。家事育児のように。

そうですね。

幸村

そう、しかも昔と違って働いてることも多い。

長生きしてほしいけど大丈夫かなって不安をどっかに抱えながら、みんな仕事してるわけですもんね。介護もしながら、自分のケアもしながら、子供も見てかなきゃいけないわけですもんね。

幸村

そうそうそう。

親世代って、本当に抱えるものが多すぎますね。

幸村

そうですね。自分の健康は、ヘルスチェックとその相談相手と見るものちゃんと見て。そして今だけじゃなくて、先に起こりそうなこともちゃんと情報で得る、みたいな。その範囲ももうちょっと広く見る必要がありますね。

ひとりひとり、女性の固有の人生と向き合う「HERDAYS」

幸村

まず、ウィルミナ(旧かがやくコスメ)はもともと化粧品メーカーです。特にエイジングというところで、加齢に伴うホルモンの変化や、ライフイシューの変化に対する女性たちの声に耳を傾けて、その課題を解決すべく、丁寧に「物づくり」をしてきた会社なんですよね。

そこに耳を傾ければ傾けるほど、美容だけで解決する問題だけではないということに気づきました。一方で、直前は国内外のヘルスケア領域のベンチャーに投資したり、事業開発する仕事をしてきたわけですが、美容と健康と医療がだんだんシームレスになっていく世界に変化していることを感じていた。デジタルでオンライン診療のモデルができていく中で、それを取り入れて、より真の課題を解決していく領域を広げられたらと思って、ここの会社だったらそれができるのではと思って、立ち上げたんですよね。

そんな中で、どうしてピルの処方だったのでしょう?

幸村

生理をコントロールすることというのは、すなわち、体調をコントロールできるとか、日常をコントロールできるというところなんです。ずっと「仕事も日常も自分で自由に選択できて動けるような生き方ができたらいいよね」と思ってきたので、少しでも体調や日常をコントロールできるように、まずは生理=ピル処方から提供したいなと思いました。

ピルの普及も、社会の理解もまだまだですもんね。

——
自分の人生を自分で選択できる そんな “あたりまえ” を すべての女性に

私たちひとりひとりの日常は、時に「女性らしさ」と一括りにされる。生理の悩みも、身体への向き合い方も、自分の性のあり方も、ライフプランや暮らし方だってひとりひとり違って当然。ハーデイズは、「女性らしさ」ではなくひとりひとり違う「あなた自身」に寄り添い、選択肢を届けるブランドでありたい。自分の人生は自分のもの。自分の身体は自分のもの。そんなあたりまえを縛りつけてくるあらゆる瞬間に、自分を愛する選択肢を。
——HERDAYS WEBより

幸村

生理痛のために、日常生活や仕事が苦痛・しんどいと思う人の割合が60%ぐらいいて(※)。それに対して、多くの人は鎮痛剤を飲んでいる。そこまでして頑張ってる人たちのための1つのソリューションになったらいいなとは思っています。

それこそ、ご自身がビジネスをハードにやってこられたからこそですよね。コントロールすることの大事さも感じているっていう。そんな、HERDAYSの中で譲れないもの、こだわりは何ですか。

幸村

例えば、私はもちろん、医師も全員女性というところは、他のサービスと比べた際の違いの1つかなと思います。女性の視点を活かしながら、今後も本当に女性の支援になるような機能やサービスを追加していきたいです。あとは、社会全体で課題を解決できるようなコミュニティにもしていきたいですね。そういう意味でも、辻さんと一緒に取り組みができることを楽しみにしています!

シスターフッドと呼ばれるような、連帯できる場所がまだまだ日本には足りないですよね。

幸村

そう。だからそういった「思想」も含めて、このサービスでありブランドであるというところは、他と違うものにしたいと思っています。クスリやプロダクトだけ販売して稼ぐ、という思想ではないものにしたいです。

フェムテック業界でも、最近は様々な賛否もあります。売上を追求しすぎて、本質的でないサービスになったり。本来の目的からちょっとずれてるんじゃないかなというのも、増えてきている印象もあります。

一方で、このHERDAYSが目指していきたいところって、利益を生み出すビジネスと、社会的意義とのバランスなのかなと思っています。そして、それが次の時代に求められているビジネスのあり方なのかなとも思っているんですけど、この2つのバランスってすごく難しいと思うんです。

数字が見えてこないと、提供できるサービスもなかなか増やしていけないというバランスの攻めぎ合いがすごくあると思うんです。その、社会的意義と、事業としてのあり方と、どういう風に向き合っていらっしゃいますか。

幸村

それでいうとWiLLUMiNAは、もともとフェムテックをやりたくて立ち上がってる事業でも会社でもないんです。化粧品会社として「女性の課題解決」が生業だったので。

女性の課題が先にあるわけですね、フェムテックが目的というよりは。

幸村

そうそう。約40年間、お客様の声に耳を傾けて、愚直に課題解決とものづくりをやってきている会社です。

会社全体の収益で言うと、仮にピル事業が薄利であっても、化粧品部門のプロダクトの収益があるから、バランスが取れる感じです。

足腰がしっかりしてるからできる。

幸村

そうですね。会社としては、女性が自分らしく晴れやかに生きる社会をつくりたい。そのための製品やサービスを既存のやりかたを超えてでも提供していく方が大事。

それは会社としてもすごく強い気がしていて、フェムテックが危ういところに進んでしまうのは、それだけでマネタイズしていかなきゃいけないというビジネスや資本主義の難しさが優先し、社会に向き合う余裕がどうしても取れないというところがあります。

最後に、次世代の女性たちへのエールをいただいてもよろしいでしょうか。

幸村

あまり見えないかもしれないけど、時代は変わっていってると思っています。私のお友達の中には政治分野で頑張っている人もいるし、私はビジネスで頑張っていくって決めていて。なので、私たちの世代でやれることは、もう全力でやって女性の課題解決していく!と思っています。

だから、みんなの世代の悩みが、無駄な悩みにならないようにはしていきたいと思っています。それでもみんなが迷ったときに、オープンに何か示唆できるというか、有益なアドバイスが言えるような立場でいられるように、私も日々頑張ろうと思っています。

幸村潮菜 株式会社Willumina CEO
楽天に入社し、コスメ、ウェルネス、マタニティなど女性向け商材の責任者、営業統括部長を歴任した後、ベンチャー企業に入社。テクノロジーを使って顧客満足度を高めることを追求した数々のサービス開発や事業を立ち上げる。その後、商社に入社し、国内外の健康と医療の先端イノベーション、ウェルネス領域への投資を担当。
2022年2月ウィルミナに代表取締役社長に就任。女性がより活躍する社会を応援する企業を目指している。
広島大学オープンイノベーション・アドバイザー。慶応義塾大学大学院経営管理研究科卒。

辻愛沙子 株式会社arca CEO、HERDAYSパートナー
「クリエイティブ・アクティビズム」を掲げ、「思想と社会性のある事業作り」と「世界観に拘る作品作り」の2つを軸として広告から商品プロデュースまで領域を問わず手がける越境クリエイター。
リアルイベント、商品企画、ブランドプロデュースまで、幅広いジャンルでクリエイティブディレクションを手がける。2019年春、女性のエンパワメントやヘルスケアをテーマとした「Ladyknows」プロジェクトを発足。2019年秋より報道番組 news zero にて水曜パートナーとしてレギュラー出演し、作り手と発信者の両軸で社会課題へのアプローチに挑戦している。

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