女性医師が解説!フェムケアと更年期の相関関係とは?デリケートゾーンの潤いが女性に与える影響

「フェムケア」「フェムテック」というワードが一般化するとともに、製品やサービスの幅も広がり、女性にとってQOL向上の選択肢が増えてきました。しかし、デリケートな問題なので、いざ始めるにはまだ抵抗があるという方はいらっしゃるかもしれません。

フェムケアはなぜ必要で、女性にどんな影響を与えるのでしょうか?前回の「女性医師が解説!なぜ匂うの?色素沈着は加齢のせい?デリケートゾーンにまつわるウソ・ホント。」に引き続き、産婦人科専門医の宮本亜希子先生にお話を伺いました。

宮本亜希子先生
産婦人科医であり、婦人科美容の領域でも活躍。性教育やHPVワクチンの普及、女性の生活の質向上にも力を注いでいる。銀座のクリニック「BIANCA(ビアンカ)」では膣ヒアルロン酸や婦人科形成手術を担当。

年齢を重ねた女性にフェムケアはなぜ必要?

――宮本先生は産婦人科医であり、長らく婦人科美容の施術でもたくさんの女性と接していらっしゃいます。現場でもフェムケアの盛り上がりを感じられるでしょうか。

他国に比べると日本はまだ後進的です。アメリカやヨーロッパ、美容大国の韓国でフェムケアといえば、膣内までしっかりとケアする女性が少なくありません。自分の体を能動的にケアしようという意識が働いているのだと思います。

――医師の立場として、フェムケアはなぜ必要だと思われますか?

閉経前後に女性ホルモンの分泌が減少し、いわゆる更年期症状が起こります。女性であれば誰もが通る道であり、大なり小なり不調を感じるもの。そのうちの一つに女性器の変化があって、乾燥しやすくなり、膣の弾力が失われてしまうのです。粘液膜が萎縮して、若い頃のようなふかふかの状態ではなく、痛みや出血を伴うことも。快適な状態とはとても言えないですよね。

――年齢とともに起こる変化に対しては、どういった対処法がありますか?

医学的には女性ホルモンの補充療法になります。ただ、血栓症のリスクを伴いますし、辛い更年期症状が出ていないのであれば全身投与まではしなくていいと思います。膣内だけにホルモン投与もできますし、自由診療にはなりますが「膣ヒアルロン酸注入」、「膣育注射」、「膣レーザー」などがあります。という方法もあります。

――ヒアルロン酸といえば化粧品の成分としてなじみがありますが、クリニックのフェムケアでも使われるんですね。

年齢とともに顔の皮膚は潤いが失われていきますよね。女性器も同じ皮膚ですから、乾燥ケアには保湿成分を使用しますし、実は膣の粘膜の方が吸収率は高いんですよ。

 

フェムケアを始めると女性はきれいになる!?

――フェムケアで潤いをチャージすると、どのような結果が期待できるのでしょうか。

乾燥が原因で起こる痛みや性交痛を抑えられます。そして、保湿成分を吸収した膣はふっくらとしますから、性行為ではポジティブに働くでしょう。

また、これは医学的な根拠はないのですが、私がこれまで見てきた患者さんでフェムケアを積極的に行っている方は、どんどんきれいになっていくんですよ。デリケートゾーンと外見に相関関係があるのではないかと思えるぐらい、キラキラしていくんです。もともと美容意識が高い方たちといえばそうなのですが、デリケートゾーンまできちんとケアしていることが、女性としての自信に繋がっていくのではないかなと思っています。

――乾燥による不快感が取り除かれれば心地良いですし、気持ちが上向きになりそうです!

歳を取ったからといってデリケートゾーンに見てみぬふりをするのではなく、日々ケアをすることで自信が湧けば、自分の体をもっと好きになれそうですよね?パートナーがいる・いないに関わらず、自分がいかに満足するか、心地良いと思えるかどうかを追求することが、結果として女性としてのハリをもたらすのだと思います。

――フェムケアを始めるのに適した年齢はあるのでしょうか。

スキンケアと同じと考えれば、早ければ早いほどポジティブな結果に繋がります。ただ、50代、60代だから遅いということはなく、手をかけたなりの効果は十分に期待できます。子育てが落ち着き、自分に時間が使えるようになった年代こそ、フェムケアを始めるのにちょうどいいタイミングとも言えるかもしれません。

――先生は今後の日本のフェムケア市場にどのようなことを期待していますか?

日本は性的な話題をオープンにすることすら憚られるレベルですから、多くの女性に情報が届き、実際にフェムケアを日常的に行う方が増えるようになるには、もっと時間がかかるだろうと思っています。女性にも性欲があり、いくつになってもパートナーを望んでいいはずなのに、そういったことを口にしてはいけないような空気ですよね。

SRHR(Sexual and Reproductive Health and Rights)の観点でも日本はまだ課題が多い状況で、女性が男性に消費されるような風潮は終わってほしいし、女性たち自身にも自分の体にもっと主体的であってほしいです。パートナーを持つか、子どもを産むのか産まないのかは女性自身が決めること。自分の体を使って命がけで妊娠・出産を行うわけですから。こういったことは日本産婦人科学会のセッションでもたびたび話題に上ります。

そこで私が期待するのは、「フェムケア」や「フェムテック」という間口の広さを感じさせるワードです。手に取りやすい商品が増えれば、女性たちが体と向き合うきっかけになりますから、そういった市場が醸成されていくことを医師としても願っています。

――フェムケアの流行りに乗ってみるというカジュアルな一歩だとしても、まずは始めてみるのでも良さそうですね。ウィルミナとしても、女性に寄り添った商品やサービスを提供していきたいと思います。宮本先生、ありがとうございました!

ウィルミナが展開する「イビサビューティー」の公式サイトはこちら

back