「パパも育児してるんです」って、まだ珍しい?
時代が変わっても、どこかに残る『育児(&家事)はママの仕事』という空気。

国立社会保障・人口問題研究所が実施した「全国家庭動向調査」(2022年調査、2023年8月公表)によると、妻と夫の1日あたりの平均家事時間は、平日で200分、休日で195分、妻のほうが多いとか。さらに、家事分担の割合を妻の就業形態別に見ると、たとえ正規雇用で働く妻であっても、約5割が家事の80%以上を担っているという実態が明らかになっています。

でも実は、静かに、確実に、家庭のかたちが変わりはじめています。従業員の男女比が2:8、女性管理職比率が50%を超えるウィルミナで働く男性たちに、家事・育児と仕事のリアルと女性活躍推進への想いを語ってもらいました。

会社の変遷とともに、男性の育児・家事参画もアップデート!?
ウィルミナの男性たちが語る、家庭と仕事のリアル

――池田さんは、時短勤務も経験しながら、ご家庭の育児・家事の中心を担って10年目。男性の育児・家事参画が叫ばれる前から、先駆者的にやっていますよね。

池田:
うちの場合は、奥さんが長期出張が多い仕事で、僕がやらないと家族が回らないという事情があったので。

清水:
当時の会社(双日コスメティックス株式会社時代。ウィルミナは2016年に双日グループからスピンアウトし、2022年に株式会社ウィルミナに社名変更)の経営陣は、家庭を慮る人は多かったと思いますが、時短や育休を取るという例はまだなかったですよね。

池田:
フレックスもなかったしね。制度は整っていなかったけど、僕は家族が大事だからやりくりしていました。それにしても、今は本当に働きやすい時代になりました。

――大松さんは、ウィルミナ初の男性の育児休暇取得者ですね。

大松:
うちは共働きですが、奥さんが個人事業主で基本は在宅。子どもがまだ1歳ちょっとで、平日はお世話をお願いしちゃっている部分が多いけど、その分、土日は僕がやるという形でバランスを取るようにしてます。でも逆の立場なら、平日も、体調が悪いときも全部やって、子どもの相手をずっとするのは結構しんどいだろうな、と。だからその負担は夫婦で分かち合いたいし、社会もそういう風潮になってきているのはいいことだと思ってます。

僕は、まだ入社3年目だけど育休も取らせてもらったし、「男性も女性も同じ立場で、男性も育児しましょう」という時代に社会人になってるので、割と当たり前に感じます。まわりの友達も、「家事・育児両方やってます」っていう人が多いので、何か特別なことという感じはあまりしないです。

木山:
時代だなあ!うちは上が8歳、下が6歳でまだ手がかかる。奥さんも働いてるから、僕もやるのが当たり前。奥さんが会社で飲み会があったり、映画を見て帰りたいというときは、ご飯をつくったり、子どもをお風呂に入れたりしています。

清水:
ご飯、つくれるんですね。

木山:
ちゃんとスーパーで食材を買って帰りますから!(笑)ご飯をつくるのなんて、当たり前ですよ。

池田:
当たり前!

 

木山:
自分も家事を担うようになって、結構楽しいな、という気づきがあった。無心になれるのがいいかな。何をつくろうかなって、YouTubeを見ながら決めたり。食後の皿洗いもわりと好き。

清水:
僕は奥さんと話し合って、家事はやらないけれど、子どものために体力を使う方の担当に。在宅勤務のときは子どものお迎えにも行くし、休みの日も外に連れ出す役割もする。その間、奥さんは家で自由に過ごしてもらって。

池田:
僕、家事はできたけど、習い事の対応が大変だったかな。送り迎えとか、そのための時間をつくること。習い事の発表会のための身繕いをしてあげるのも難しかった。親御さんたちとのコミュニケーションはどう?

清水:
うちは運動系の習い事だけど、毎週顔を合わせていると友達になっている感じですね。子どもを通じて親同士のコミュニティができていくのは、友達が増えるみたいな感じで、結構楽しい。

間山:
育児に参画すると、そういう面もあるんですね。でも男性が育児をするにしても、フレックスやテレワークといった会社の制度もある程度は揃っていないと難しそうですね。

大松:
朝は僕が子どもを保育園に送り届けていますけど、柔軟な働き方ができる制度があるとすごく助かります。子どもがぐずってしまうと少し遅れてしまうこともあるので、フレックスはありがたいなって思いますね。

間山:
大松さんが育休を取ったときは、申請しづらかったとか、周りのサポートが「もっとこうだったらよかったのにな」とかあった?

大松:
もともと育休を取得する予定はなかったんです。でも奥さんが個人事業主で産休・育休がないうえに、仕事を続けないと依頼がなくなってしまう懸念があったのと、育児のすべてを奥さんにお願いするのは違うなと思って決めました。育休に入った最初の1~2週間は業務上の確認とか連絡がありましたが、それ以降はまったくなくて、育児に専念できましたよ。

間山:
まさに、女性が育児でキャリアを望んでいないのに中断することがないように、協力できている事例だね。

知らなかった。でも、知れてよかった。女性の健康課題への男性たちの“気づき”

――女性の活躍推進には、男性にも育児・家事に参画してもらうことやワークライフバランスも重要ですが、健康課題への理解も必要ですね。女性の健康課題への理解について、どんな関心がありますか?

木山:
間山さんは子どもはいないけど、女性の部下がたくさんいるよね。女性の健康検定®を受験してみて、どうだった?

間山:
そうですね、知らない健康課題がいっぱいあって、大変なんだなと気づきました。みんなに健康でいてほしいから、意識を向けるようにもなりましたね。

清水:
僕のチーム内も女性しかいないし、デリケートゾーンケアの商材を扱っているから、女性の健康課題はよく話をしていて。女性ならではの、なんというか、生きづらさみたいなものがありますよね。

黒ずみケアクリーム(イビサビューティーの薬用イビサクリーム)の事業を展開していて実感したのは、デリケートゾーンをケアするのは、黒ずみなど見た目の悩みを解決するだけじゃなく、自分の体や健康状態と向き合うことなんだと。その啓蒙活動も担えているのは、社会的に貢献度が高いと改めて感じています。

女性が生理課題で在宅勤務に切り替えることってあるじゃないですか。「体調不良」とだけ申告するので、「体調不良で在宅勤務ってどうなの」と最初は思ってしまうこともあったけど、事業や同僚を通じて理解していくと、「そういうこともあるだろう」「もしかしたらそういう時期なのかもしれないな」と自然と思えるようになりました。

池田:
うちは、健康課題は家族で共有するようにしてる。子どもは、生理がもう始まっているから、奥さんがいないときに本人が困らないように、コミュニケーションをよく取っています。(生理用品をどう使うかなど)具体的なことは知らなくても、何がどこにあるかを把握しておくとか。急に生理が始まっちゃって、奥さんは長期出張になったらなかなか帰ってこれないから、そういうときはちゃんと側にいてあげられる環境をつくっておかないとな、と思ってやっています。

――すばらしい!コミュニケーションはやっぱり大事ですね。職場に置き換えるとどうでしょうか?女性に限ったことではないですが、健康課題やライフイベント、ライフイシューでどうしても休んだり、離脱せざるを得ない状況もでてきますよね。

大松:
誰かが休む分の業務を他の社員がカバーすることで、その人のキャパが100%を超え続けるような状況になると、カバーする側も持たないし、休む人も居心地が悪くなる。だから、80~90%の力で常に組織や業務を回せて、余力の10%で何かあったときに支えられる組織を作ることも大事ですよね。

全員:(うなずく)

育児における「ジェンダー役割」、男性のホンネ

――例えば、育児の主体は女性であるべき、男性は時短勤務はしないもの、というようなアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)についてはどう思いますか?

清水:
時短勤務は女性のためのもの、という思い込みはありますね。育児は女性が担う方がいいと思っているでしょ、って言われたら、「はい」と答えてしまうかな。イメージもそうだし、世間一般での実績もやっぱりそうだと思うから。

――変えていくためには、どうしたらいいんでしょう。

池田:
社会全体が変わっていかないと、なかなか難しいでしょうね。

清水:
そうですよね、当たり前の概念が変わっていかないと難しい。

池田:
ウィルミナの目線と世間の目線は違うから、温度差はあると思いますよ。男性が時短勤務をし、家事・育児の主体者となると、会社の外では理解や共感を得られないこともある。「パパ友」や育児に関わる男性同士のコミュニティが身近になかったり、共感や情報交換ができる仲間がいないもどかしさがあったり。そのぶん、家族とのコミュニケーションはより重要かな。

ただ、ウィルミナの実情を他の企業の人と話して、「(男性が時短勤務したり、育休も取れる)ウィルミナって進んでいるね」と思ってもらえたりしたら、少しずつ世間の目線は変わってくるかもしれない。

大松:
僕は、もともと自分で料理もするし、家事もたぶん奥さんよりは好きなタイプ。苦じゃないからかもしれないけど、できるほうがやればいいという考えで、これはあなたの仕事ねって区別したくないし、されたくもないかな。手が空いてる方が洗濯とかすればいいし。

池田:
自然にできるのがいいね。

間山:
アンコンシャス・バイアスには、収入の差も関係があるかもしれないですね。男性より年収が高い女性たちもいますけど、社会全体ではまだ女性の方が年収が低いという事情から、育児の主体を担うことになるケースが多いんじゃないかなと。

清水:
収入の男女差に関していうと、ウィルミナは評価制度もアップデートしたし、そういうのはないよね。女性だから給与が低いってことはないし、実際、役職も女性の方が多いし。

木山:
そうだね。男性の育児参加も増えてきているとはいえ、やっぱりまだ育児や家事の中心は女性という家庭は多いよね。だから、女性の場合、産休・育休から職場に戻ってきたときに、どうしても以前と同じような働き方が難しいこともある。でも、それは本人のやる気の問題ではなくて、家の事情や時間の制約があるだけ。だからこそ、休みに入る前から「復帰後はこういう働き方ができそう」「こういう業務なら続けられそう」みたいな話を、本人とチームで共有しておくことが大事じゃないかな。育休明けの女性だからしょうがないよね、で片づけるのではなく。

あと、本人がOKであれば、育休中もちょっとした連絡や情報共有があると、職場とのつながりが感じられて安心できるかも。もちろん、強制じゃなくて「気楽に」「必要なときだけ」という感じで。

こういう取り組みを通じて、いろんな意味で「お互いさま」の気持ちで支え合える職場になっていけたら、まずは小さい単位だけど、ウィルミナからアンコンシャス・バイアスはもっと解消していくかなと思います。

――なるほど。みなさん、今日はありがとうございました。最後に、座談会を行った感想を、木山さんお願いします!

木山:
女性がキャリアをあきらめずに働き続けられることが会社の成長に必要なのは明白で、制度は整ってきたかなとは思います。ただ、この座談会を通じて、まだ「家事・育児の主体者は女性」という意識の問題が、我々を含めて社会にはあるなと痛感しました。

一方で、家事・育児に参画する男性にとっても、社会の理解があるかというとまだまだそうではない。制度ができて、活用されてきてはいるけれど、もっともっと変えていかないといけないことがあると理解できました。国が決めているからという理由ではなく、まずはウィルミナの働きやすい環境を、男性からも女性からも意見しあってつくっていけたらなと、そんな風に思っています。
撮影:土佐 麻里子